電気設備計算アシスタントの計算手法
ここでは計算の方法を紹介します。
ケーブル設計計算
ケーブルの選定、電圧降下、電力損失を計算します。
有効電力をP
, 線電流をI
, 線間電圧(単相3線式の場合は中性線と電圧線間)をV
, 力率をconsφ
とすると、
// 単相2線
I = P / (V * cosφ)
// 単相3線
I = P / (2 * V * cosφ)
// 三相3線
I = P / (√3 * V * cosφ)
ケーブルサイズは流れる電流が許容電流より小さくなるサイズの最小値を選定します。
電圧降下と電力損失は選定されたケーブルの単位長あたりのインピーダンスとケーブル長さから抵抗値R
を求めます。
このとき、ケーブルの電圧降下をΔV
, ケーブルの単位長インピーダンスをr+jx
, ケーブルの長さをlとすると、
// 単相2線
ΔV = 2 * I * l * (r * cosφ + x * sinφ)
// 単相3線
ΔV = I * l * (r * cosφ + x * sinφ)
// 三相3線
ΔV = √3 * I * l * (r * cosφ + x * sinφ)
また、ケーブルの電力損失Pl
をとすると、
// 単相2線 & 単相3線
Pl = 2 * I^2 * r * l
// 三相3線
Pl = 3 * I^2 * r * l
なお、単相3線負荷と三相3線負荷は平衡であることが条件です。
電力計算
線間電圧、電流、力率から各電力を求めます。
線電流をI
, 線間電圧(単相3線式の場合は中性線と電圧線間)をV
, 力率をconsφ
, 皮相電力をS
, 有効電力をP
, 無効電力をQ
とすると、
// sinφ
sinφ = √(1 - (cosφ)^2)
// 単相2線
S = V * I
P = V * I * cosφ
Q = V * I * sinφ
// 単相3線
S = 2 * V * I
P = 2 * V * I * cosφ
Q = 2 * V * I * sinφ
// 三相3線
S = √3 * V * I
P = √3 * V * I * cosφ
Q = √3 * V * I * sinφ
なお、単相3線負荷と三相3線負荷は平衡であることが条件です。
電線管設計
ケーブルのサイズに応じたケーブル断面積の和と各電線管の断面積を比較し、電線管の設計を行います。
電線管の設計は内線規定に基づき、占有率32%
と48%
の場合を計算します。
ただし、FEP管
については規定がなく、参考値
扱いとしているので、使用されるメーカーの仕様書に基づき、各自で計算してください。
なお、補正係数は使用しておりません。
各ケーブルの直径(外径)をR
、断面積の総和をSa
、設計される電線管の断面積をSb
、円周率をpi
とすると、
// ケーブル断面積の和
Sa = Σ((R / 2)^2 * pi)
// 占有率32%の場合の比較をしたときの断面積の関係式
Sa < Sb * 0.32
// 占有率48%の場合の比較をしたときの断面積の関係式
Sa < Sb * 0.48
600V CVT
ケーブルを使用した場合は、それぞれ線心の外径から線心の断面積を算出し、3倍するように計算しています。
600V CVT
ケーブルの直径(外径)をRcvt
、断面積をScvt
、円周率をpi
とすると、
// 600V CVTの場合の断面積の計算式
Scvt = ((Rcvt / 2)^2 * pi) * 3
ケーブルのデータ
各ケーブルデータの条件について、以下にまとめます。
条件 | 内容 |
---|---|
ケーブル種類 | 600V CV-2C , 600V CV-3C , 600V CVT , IV , CVV-2C からCVV-30C , CVVS-2C からCVVS-30C , 6600V CV-3C , 6600V CVT |
周囲温度(CV , CVT ) |
40℃ |
周囲温度(IV ) |
30℃ |
周囲温度(CVV , CVVS ) |
20℃ |
敷設条件(CV , CVT ) |
気中暗渠敷設 |
敷設条件(IV ) |
同一管内に3本以下 |
電流補正係数 | なし |
電源周波数 | 50Hz |
ケーブルインピーダンス温度 | 90℃ |
※CVVケーブル、CVVSケーブルのインピーダンスデータは無いため、導体抵抗のみを使用し、リアクタンスは0で計算しています。
ケーブルのデータは参考サイトから引用しています。